かって一九八○年代の後半、ジャパンマネーが怒涛のごとくアメリカの不動産市場に流れ込み、総額で数兆円という巨額な「バイアメリカ(アメリカを買い占めろ)」ブームが起こりました。この現象を見て多くのアメリカ人は戸惑いました。日本人がいったい何のためにアメリカの不動産を買うのかが理解できなかったからです。アメリカ人にとっては買い主として名乗りを上げた日本の不動産会社がデベロッパーなのか、インベスター(投資家)なのか、それとも単なるランドオーナー(地主・大家)なのか皆目見当がつかなかったのです。というのも、日本企業はアメリカの有名ビルを買収するたびに記者会見を開き、いかに高値で買収したのかを強調するだけで、それがどんな内容の投資で、どれだけ高いIRR(投資収益率)を確保できるのかといったプロの投資家には不可欠の「投資ビジョン」がまったく感じられなかったからです。この記者会見は、世界から見ると実に異様な光景でした。さらにほとんどの日本企業は、記者会見でも投資目的をはっきりと説明することができませんでした。買収したビルをリニューアルして価値を高めたり、空室率を改善したりといった事業計画や販売計画を明示することなしに、ただじっと古いビルを保有するだけの存在に映ったのです。

· · · ◊ ◊ ◊ · · ·

Leave a Reply

You must be logged in to post a comment.